形成外科クリニックを開業して、あっさり閉院した話 第0回

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前段階編

私は、形成外科クリニックを開業し、わずか15か月で閉院させた。
(ここまでスピーディーに畳んだのも、なかなか珍しいのでは?)

その経緯を、次回から書いていこうと思う。
世の中には**「成功する方法」** はたくさんあるが、「失敗する方法」 についてはあまり見かけない。
ならば、自らがその事例となろう。

ただし、数年前の話なので、細かい数字は若干異なるかもしれない。
しかし、これから形成外科や美容外科を開業しようと考えている人、
または、これからクリニック経営を考えている人の参考になれば幸いだ。


クリニックの廃業・倒産率

厚生労働省が公表している**「医療施設動態調査」(2021年10月)** によると、
日本国内には10万4,538件のクリニックがある。

このうち、帝国データバンクの調査による廃業・倒産件数は年間493件。
つまり、クリニックの廃業・倒産率は約0.47%。

この「0.47%に入る」というのは…

  • 宝くじに当たるよりは確率が高い。
  • 縁日のくじ引きで「当たり」を引くよりも可能性が高い。
  • ただし、一般的には200回くじを引いて1回あるかないかの確率。

まぁ、ソシャゲでSSレアや星5キャラを引いて凸する程度の確率 だと思ってもらえればいい。
しかも、これを自らの意思で引き当ててしまったわけだ。


クリニック vs 一般企業:廃業しやすいのはどっち?

ちなみに、中小企業庁のデータによれば…

  • 日本の中小企業の総数約358万社
  • 2021年に休廃業した企業約4万4,000社
  • 2021年に倒産した企業約6,000社

これを合計すると、年間約5万社が消えている計算 になる。
つまり、中小企業の廃業・倒産率は約1.4%。

クリニックの廃業率(0.47%)と比べると、中小企業は3倍近く潰れやすい計算になる。
クリニック業界は、「一度開業すれば比較的潰れにくい」 業界なのかもしれない。

……にもかかわらず、私はその「潰れにくい」とされるクリニックを、見事に閉院させた。
これはもう、ある意味での才能かもしれない。


次回から本題へ

では、なぜクリニックを開業し、どうして閉院することになったのか?
次回から、その経緯を詳しく書いていく。

「クリニック開業のリアル」を知りたい方は、どうぞお付き合いください。

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