集客編の追記
※以下、いつものように私の独断と偏見にまみれている。
前回うっかり書き忘れていたことがいくつかあるので、ここに追記しておく。
Googleマップの登録と評価について
開業直後、Googleマップにクリニックが載るまで、なぜか半年かかった。
原因は不明。ただ、ひとつ思い当たる節がある。
やたらと営業電話がかかってきていた時期があった。特に多かったのが、
「Googleマップに掲載しませんか?」という、公式っぽいが胡散臭い電話。
当然、診療中に営業の電話はたくさんかかってくるのでまともに取り合うはずもなく、
「はいはい、結構です~」と雑にあしらっていた。
後から思えば、あれがGoogleの担当者だった可能性もなくはない。
Googleの評価について
もうひとつ驚いたのは、「星5を売る業者」が存在していたこと。
「Googleの評価、星5つけませんか?」といった営業が実在するらしい。
それを聞いた瞬間、星だらけのクリニックが全部サクラに見え始めた。
本当にいいクリニックなのか、課金の成果なのか、外からは分からない。
逆に言えば、変に評価が高すぎるところのほうがちょっと怪しい。
やってはいけないこと:患者を“連れていく”行為
今の職場から患者を引っ張ってくるのは、マナー違反もいいところと個人的には思う。
特に美容系クリニックは、広告に大金をつぎ込んで客を集めている。
初診の患者は、医師が個人的に引き寄せたわけではなく、広告の成果物。
にもかかわらず、「今度は私のクリニックに来てくださいね」などと誘うのは、どう見ても筋が通らない。
それをやるなら、広告費を返せという話。
ちなみに自分は、退職時に「先生どこへ行くんですか?」と聞かれても、
「しばらく休んで考えます」とだけ答えていた。
なお、患者が勝手に検索して新しいクリニックにたどり着くのは、まったく問題なし。
そこに医師としての力量や人柄が反映されるだけの話。
倫理的な問題
昔、ある一般病院に勤務していた時にある医師が退職の際に病院の経費で約5000人に「開業する私のクリニックに来てね」とハガキを送った例があった。案の定、問題になった。
倫理的に見てもアウト。
もしあなたが開業後に、非常勤の医師に同じことをされたら腹が立つであろう。
自分がされたら嫌なことは、基本的に他人にもやらない方がいい。
道徳の授業で習ったはずだが、なぜか大人になると忘れる人が多い。特に偏差値が高い人ほど倫理観を忘れている人が多い気がする。偏差値がそこまででもない人はそもそも倫理的なことを知らない人が多い気がする。
狭い世界で生きるということ
医療業界は思っているよりも狭い。誰と誰がつながっているか、表面上では分からない。
法的に問題なくても、倫理観が欠けていれば、いずれ居場所はなくなる。
患者は意外とよく見ているし、同業者の記憶力も案外あなどれないし、やられた側は絶対わすれない。
この業界で長くやっていくには、技術と同じくらい「誠実であること」が効いてくる。
倫理と能力、そのバランスについてはまた別の機会に取り上げようと思う。