内装で気を付けたこと
⚠ 注意: この記事には、私の独断と偏見が多分に含まれています。
壁紙・床材
高級な壁紙を使ったところで、患者が増えるわけではない。
清潔で落ち着いた雰囲気のもので十分。
小児科ならキャラクターものもアリだが、一般的なクリニックなら住宅レベルで問題ない。
床材は特に注意が必要。
血液が染み込むような素材は保健所でNGなので、フローリングやクッションフロアが無難。
どうせいずれ汚れるので、安めのクッションフロアを3~5年ごとに張り替えたほうがよい。
床は土足よりスリッパのほうが清潔。
ただし、スリッパを嫌がる人もいるので、使い捨てスリッパを用意しておくといい。
土足とスリッパでは、汚れ方がまったく違う。
段差とロボット掃除機
段差は極力なくす。
車いす対応という意味でも重要だが、それ以上にロボット掃除機のためである。
40坪程度のクリニックなら、ロボット掃除機が黙々と働いてくれるので、動きやすい構造にしておくと便利。
ただし、隅は掃除できないので、週1回は自分で掃除すること。
ロボット掃除機に「お前、そこちゃんとやれよ」と話しかける羽目になる。
そしてロボット掃除機のお手入れも忘れずに!
電源・LAN設備
コンセントはいくらあっても足りない。内装工事の時につけると安くつくのでたくさんつけておくのを推奨
電源が足りずに延長コードをズルズル引きずっているクリニックほど、見た目がだらしなくなるものはない。
特に受付はコンセントを机の上下に最低10個はつけておくこと
おすすめの配置は、
- 部屋の4隅の低い位置と2隅の高い位置
- 床の埋め込み(電動ベッドや医療機器用)(床配線のついでにつけてもらうと良い)
また、電源を設置するついでに、有線LANのポートもあけてもらっておく
電子カルテ会社がリモート操作をする場合、有線のほうが処理が速い。
実際、電子カルテのアップデートが破損したことがあり、そのときリモート操作で助かった。
(とはいえ、アップデートファイルにはハッシュを付けるべきだと思ったが……)
火災報知器・エアコン
完全な個室を増やしすぎると、火災報知器やエアコンの関係でコストがかかるうえ、点検も面倒になる。
かといって診察室の上部を開けると、診察内容が筒抜けになり、保健所から指摘される可能性がある。
つまり、「完全個室もダメ」「開けすぎもダメ」という面倒なバランスを考えなければならない。
収納スペース
大きめの納戸を作っておいて正解だった
消耗品を収納できずに動線上に物を置くと、徐々にクリニックは狭くなり埃で汚れていくので注意
柱と柱の間にできた微妙な隙間は、うまく収納スペースとして活用する。
家具・棚の選び方
作り付けの棚はなるべく避ける。
レイアウト変更の自由度が下がるからだ。
収納には、カラーボックスやメタルラックを使うといい。
不要になったら捨てられるし、移動も楽。不要になったら確実に捨てていくことが大切
水回り
どこのクリニックでも水回りは汚いところが多いので、掃除しやすいものを選ぶ(特にシンクの下)
手術や処置をするなら、大きめのシンクが便利。
私は中華料理の厨房にありそうなデカい流しを導入したが、これは大正解だった。
水回りの近くにオートクレーブを置くと、排水作業がスムーズになる。
ちなみにオートクレーブの水は使わなければ抜いておいた方が良い
錆まくってるオートクレーブであまり滅菌はしたくない
洗顔・温水設備
賃貸事務所にはガスが設置していないことが多くお湯が出ないことが多いので、6リットル程度の電気温水器を設置。
シンクには10リットルから20リットル程度の温水器を入れておいた方がいい
冬場の洗い物は楽になるし、ちょっとした汚れもお湯のほうが落ちやすかったりする
冷蔵庫・冷凍庫
ボツリヌストキシン(毒物)や1%Eキシロカイン(劇物)は、地域によって鍵付き保管が必要と指摘されることがある。
千代田区の保健所では指摘されたが、新宿区・文京区では完全スルーだった。
もし鍵付きの管理が必要なら、
- 冷蔵庫の冷凍部分に簡易ロックをつける
- 冷蔵庫のある部屋を鍵付きのドアにする
などの対策を考える。
監視カメラ
受付や死角の監視には、古いスマホを活用するのがコスパ最強。
5年型落ちくらいのAndroidスマホを充電しっぱなしで監視カメラ代わりにすると、コストを抑えられる。
「アルフレッドカメラ」というアプリを使えば、PCからも監視できて、警告音まで鳴らせる。
年間3,500円程度なので、防犯対策としては十分。
最近はANKERなどからWifiの監視カメラもあるのでそっちでもよいかも
待合室・診察室の家具
待合室の椅子は、診察できる人数の2倍程度あれば十分。
付き添いや子連れのことを考慮して、少し多めに用意すると安心。
診察室の机と椅子は、オフィス家具がベストだった。
- 机は引き出しなしのオープンなもの
- 下が開いていて掃除しやすいものがいいと思う
- 電子カルテやちょっとした小物は机のわきにメタルラックを置いて全部乗せるようにした
- 自分の椅子はローラー付きで移動しやすいもの
- 包交車(処置道具を載せるワゴン)への移動が楽
- 患者用の椅子はローラーなし
- 後ろに倒れると危ないので、固定式のほうが安全
- 患者の荷物入れは小さい机が良いと思う 地面に置くのは不潔だからだめ
診察用ベッドは電動一択
高さ調節できないものと電動ベッドの2種類を用意したが、結局、電動しか使わなかった。
高さが調整できると、患者の乗り降りが楽になるし、施術の姿勢も快適。
私は高田ベッドで購入した。上下させるスイッチがリモコンならさらに良し
従業員の休憩室
- 休憩室はケチらないほうがいい
- 広すぎる必要はないが、狭すぎるとストレスが溜まる
- Wi-Fiは開放(スマホなしで休憩は無理)
- 電子レンジと冷蔵庫は必須(冷えた弁当やカチカチの冷凍ご飯は悲しい)
自分の休憩室
3畳ほどの休憩室を作ったが、自分の家の家賃を浮かすために途中からここが住処になった。
結果として、月20万円程度の家賃・光熱費・移動費が浮いたので、作っておいて正解だった。
最初は「ここで寝るのか…」と絶望したが、意外と快適で日当たりもよく、上の階はジムなのでなにかと健康的だった