美容医療への転科について思うこと

※ 私の独断と偏見が入っていることはご了承ください。
それと、以前書いた**「センスよりも解剖的な問題のほうが重要」という項目と、
本記事の内容が少し矛盾しているように思えるかもしれません**。
ただ、ここで言いたいのは、解剖の理解が大前提であり、
その上での**「感覚」や「流行の理解」も重要になる**ということです。

つまり、

  • まず解剖を理解し、安全な施術ができることが大前提。
  • その上で「今どんな顔が求められているのか」を把握できることが、美容医療においてはプラスになる。

このようなスタンスで読んでもらえればと思います。


目次

他科からの転科について

比較的似た分野での転科はしやすいのではないかと思う。
例えば、

  • 消化器外科 → 消化器内科 のように、扱う臓器が同じならスムーズに移行できるだろう。

しかし、

  • 心臓外科 → 美容外科 のように、そもそもやることがまったく違う転科は、一から学び直しになる。

もちろん、本気で勉強するなら問題ないが、「外科医だから縫合できるでしょ?」くらいの気持ちでは厳しい。


似通った科目からの転科

科目によっては、美容医療に活かせるスキルがすでに身についている場合もある。

  • 眼科医 → 目回りの施術に強い(二重整形・眼瞼下垂など)
    結膜の処置に慣れている医師も多く、繊細な手技が求められる美容外科とは相性が良い。
  • 耳鼻科医 → 顔面の血管や神経の走行を熟知しているため、顔周りの施術との親和性が高い。
  • 皮膚科医 → 美容皮膚科への転科は王道。
    レーザー治療やスキンケアの知識をそのまま活かせるため、最も自然な流れ。
  • 形成外科医 → 美容外科への転科はやはり王道。
    元々、美容外科と重なる技術が多いため、ほぼ「専門性の延長」で移行できる。
  • 整形外科医 → ほぼ見かけない(私が知る限り、美容に転科した整形外科医はあまり向いていなかった)。

美容医療に向いているかどうか?

美容医療は技術だけではなく、流行の理解や美的感覚も重要。
そのため、性別や年齢によって向き不向きが出やすいのも特徴だ。


性別による適性

  • 男性医師
    • アイドル好きな人は向いている可能性あり。
    アイドルはその時代に合った「かわいい」や「きれい」を追求できるため、トレンドを意識しやすい。
    • 「黄金比」的な理論だけでなく、感覚的な美を理解できる人が強い。
    例えば、 モーニング娘。 → AKB → 坂道系 と、その時代ごとの「王道アイドル」を見てきた人なら、
    「当時は可愛かったけど、今見るとちょっと違うな…」と感じることがあるだろう。
    これは、その時代ごとの「かわいい・きれい」は感覚的に異なるということ。
    男性は、その時代ごとに「かわいい」とされるアイドルや女優をそのまま受け入れられる人が多い。
    この「時代の流行を受け入れる感覚」は、美容医療にも活かされる。

  • 女性医師
    • 20代後半~30代前半の女性医師は、美容医療界の最強世代。
    若者の流行をリアルに理解でき、美容医療の需要と感覚が一致しやすい。
    • 40代後半以降になると、若者の感覚が理解できなくなることも。 例えば、「涙袋のかわいさ」を理解できる人と、まったく共感できない人に分かれるように…。

異性への魅力は年齢を超えてわかりやすい

人間は、異性の魅力は年をとっても理解しやすい。
50歳を過ぎても、異性のアイドルや俳優を見て「かっこいい」「かわいい」と感じることはある。
しかし、同性への美的感覚は年齢とともに鈍くなりがち。
もっと言うと、同性に対しては「自分が最も多感だった時期の流行り」を引きずってしまうことが多い。

例えば、

昔よくいた肩パッドの服を着ている人、やたら細眉の人、AGEHAメイクの女性。
今でも一定数いると思うが、これは

「自分が多感だった頃の流行を引きずっている」ケースが多い。

この「流行を引きずる傾向」は、美容医療においても重要な要素。

  • 「流行に乗り遅れないか」
  • 「時代の変化を受け入れられるか」

このあたりが、美容医療に向いているかどうかの判断基準になる気がする。

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