痔になって手術をした エピソード3

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術後から翌朝まで

のんびり昼寝から目覚めた私を待っていたのは──お尻の痛みだった。

最初は「まあ術後だし、このくらいの痛みなら想定内」と思っていた。
ところが、麻酔がじわじわ切れはじめると、そこには想像を超える痛みの世界が広がっていた。

術前にもらっていたボルタレンを飲んでみたが、効果はまるで焼け石に水。
むしろ“焼け石”というワードがリアルに感じられるほど、熱く痛む。

さらに出血もじわじわ止まらない。
痔ろうの手術は、切除したあとを縫わずに自己治癒に任せるスタイル。
つまり、お尻に“ぽっかり開いた空間”がある状態で日常を送ることになる。

もちろん、術中に大きな血管はしっかり止血しているが、
じわじわとにじみ出るタイプの出血は、どうにもならない。出るものは出るのだ。

入院初日にナプキンを購入させられた理由も、まさにこれだった。

軟膏を塗ったナプキンをお尻にあてがい、数時間ごとに交換する日々。
初日は3時間に一度くらいの頻度で取り替えていた。

ちなみにこのクリニック、トイレに小さなビニール袋が常備されており、
使用済みナプキンはそれに入れて、専用のゴミ箱へ。
地味だけどありがたい仕組みだった。


痛みと共に過ごす夜

その晩は、とにかく痛かった。
「いっそ寝てしまえ」と思って眠る → 目が覚める → やっぱり痛い、を繰り返す。
夢の中でも痛いような気がした。

「それでもウトウト眠れる自分、すごいな……」と、やや他人事のように自分を褒めていた。


術後1日目(翌朝)

朝、目覚める。うん、やっぱり痛い。
いや、むしろ昨夜より痛いのでは?というレベル。

この日から食事が再開。
割り箸片手に、食堂へ足を運ぶ。

そこには同じく戦いを終えた同志たちが10人ほど。
歩く姿は普通なのに、座るときだけは皆そ〜っと、慎重に腰を下ろす。
その気持ち、痛いほどわかる。共に戦う仲間としての一体感がある。

食事は思っていたよりずっと美味しく、朝昼晩すべて完食。
お腹だけは満足していた。


入院中の暇つぶし事情

「どうせ暇だろう」と思って、パソコンと分厚い本を持参していたが……。
本は無理だった。文字が頭に入ってこない。

やや難しめの本を選んだのも敗因だが、何より痛みが集中力を奪っていく。

意外と、映画・アニメ・ドラマ・ニュース番組は普通に見られる。
スマホのゲームも、まあまあ気が紛れる。
でも活字はダメだった。(※漫画ならいける気がする)

夜になると、痛みはさらに増す。
「人間って、夜になると不安が増して痛みも増すのかもな……」と、
やや哲学的な気持ちになってみたりする。

この日の痛み指数(Max100とすると):85〜100


術後2日目

相変わらず痛い。ただ、昨日より“ちょっとだけ”マシ……かも?

本はやっぱり頭に入らない。ダメ。

出血は続いているが、ナプキン交換の頻度は3時間に1回 → 4時間に1回程度に減少。
多少の進歩を感じる。

やることがなさすぎて、院内探検へ。
このクリニックは個人経営なので、コンビニや売店のようなものはない。

代わりに、オフィスによくあるタイプのドリンクサーバーがあり、
水・お湯・緑茶・ジャスミン茶が飲み放題。
ジャスミン茶好きな私は、ありがたく常連化。

さらに、自前で持ち込んだ粉末ドリンクやジュースも活用し、飲み物面は完璧だった。

暇すぎて、階上にある洗濯機と乾燥機を使って毎日洗濯。
ゲームとNetflixを交互に回しながら日々をしのぐ。


深夜の腹痛イベント発生

夜、今度はお腹が痛くなる。
私はもともと便秘体質で、2〜3日に1回、しかも硬め。
(※これも痔の一因だった)

その便秘の周期が、今この瞬間に発動してしまった。

便は出ない。
いきめば傷が痛いし、怖い。
出たら出たで、傷口が便で汚れるのが怖い。

腹痛は30分おきに波のようにやってきて、
→ トイレへ → 出ない → 痛みひく → シャワー浴びる、の無限ループ。

しかも、これが深夜1時にスタート。

結局、ウトウトしながら朝を迎えることに。

この日の痛み指数:75〜90
(ただし深夜の「腹痛×痔痛」コンボ発動時は120


術後3日目

朝、腹が張っていて食欲がない。
看護師さんにお願いして浣腸してもらったら──一発で解決。

出る出る。めちゃくちゃ快適。
「昨日の苦しみ、なんだったの……?」と、もはや笑えるレベルでスッキリ。

昼食から、ふたたびモリモリ食べ始める。

出血はまだあるが、ナプキン交換は5時間に1回程度に落ち着いてきた。

痛みも徐々にマイルドになってきたが、本はまだ読めない。
(※漫画はたぶん読める)


術後の傷の様子

気になって、スマホで傷の状態を撮影してみた。

けっこうえぐい。

外痔核の部分は、パチンコ玉くらいの傷。
こちらは見た目ほど深くない。

問題は痔ろうのほう。
皮膚と皮下組織がまるっとなくなっていて、卓球の球が2つくらい入りそうな空洞がぽっかり。

(※ちなみに、傷は周囲の皮膚に引っ張られるため、1cmの切開でも2cmくらいに見えることがある)

「これは……完治まで、けっこう時間かかりそうだな」と、しみじみ実感。

この日の痛み指数:60〜80

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