痔になって手術をした エピソード2

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肛門科クリニックへ

私は医者ではありますが、肛門の専門家ではないため、以下の内容には誤りが含まれている可能性があります。
そのあたりをご承知おきのうえ、お楽しみいただければ幸いです。


たまたま近所に「肛門科といえばここ」という有名クリニックがあったので、思い切って受診してみることに。

まずは定番、直腸診。
お尻に指を入れて異常がないか確認するアレですね。冷静なフリをしつつ、内心は若干ざわついております。

そして、「実は自分で切開しちゃいました」と例のエピソードを披露。
少し誇らしげに話したつもりでしたが、医師の反応は「……よく自分で切開できましたね〜(呆れ)」という、若干の苦笑まじり。

診断結果は、外痔核・内痔核・痔ろうの三本立て。まさかのフルコンボ。
どれも手術が必要とのこと。特に痔ろうに関しては「早めにやっといたほうがいいですね」と、強めのおすすめを受ける。


3種類の痔について(ざっくり解説)

  • 外痔核:いわゆる“いぼ痔”。私が最初に鏡で見つけた、あの血豆っぽいものがコレ。切除すればスッキリ解決。
  • 内痔核:肛門の中にできる静脈瘤のようなもの。最近は注射で固める「硬化療法」が主流らしいが、肛門に注射という響きだけで心が折れそうになる。
  • 痔ろう:今回のボスキャラ。
     直腸にかかった圧で直腸壁がめり込み、トンネル状になって皮膚まで抜ける。私の場合、このトンネルの出口が炎症を起こし、膿が出ていたとのこと。

痔ろうの手術では、このトンネルを丸ごと除去する必要がある。
まっすぐなら削って終わりだが、大体は枝分かれしており、ランダム迷宮のようになっている。
この迷宮が残ると、再発や感染リスクがあるため迷宮のある「土地ごと削る」イメージで切除する。

さらに、切ったところを縫ってしまうと、その縫い目の隙間からまた迷宮が自動生成される可能性があるらしく……
結果、「縫わずに放置して、肉が自己治癒で盛り上がってくるのを待つ」という、なかなかワイルドな瘢痕治癒という方法が選ばれる。

しかし痔ろうは、まれにがん化することもある。
その「痔ろう癌」は悪性度が高く、さらに直腸は血行が豊富なので転移もしやすい。
……というわけで、手術はした方がよい


手術を決意。そして、人生初の入院。

悩んでいても始まらないので、ちょうど仕事を辞めたタイミングで手術を受けることに。
ちなみに、入院は人生初。ほんのりワクワク、そこそこドキドキ。

入院当日までは、医師と看護師さんから丁寧に説明を受けつつ、そわそわと落ち着かない日々を過ごす。


手術当日

朝8時半、入院受付へ。早い。
受付で手続きをして、約2000円分の自費物品を購入。お通じゼリー、ナプキンなど、なかなかに実用的なラインナップ。

病室に案内され、看護師さんから入院生活の説明、そして術後の薬のレクチャー。
朝と昼は絶食、水分は夕方からOKとのこと。なかなかの修行感。

入院後は荷物を整理し、点滴を入れながら手術を待つ。
そして昼頃、いよいよ出陣──。


オペ開始!

まずは手術台に腰かけて、サドルブロック麻酔。
(※サドルブロック=自転車のサドルが当たるあたりだけ感覚をなくす麻酔。つまり、お尻だけしびれて歩ける)

次に局所麻酔を追加、お尻を消毒して手術スタート。
医者ということで、術中のモニターを見える位置に置いてくれた。

……とはいえ、画面に映る“それ”が自分のお尻だとは、なかなか信じがたい。

感覚はゼロ。
自分の肛門がザクザク切られ、電気メスでジューっと焼かれていても、まったく痛くない。これは不思議な体験。

「どんな手術も、切開・展開・止血。この3ステップなんだな……」
と、もはや講義を受けている気分。

肛門周囲は血管が多いためか、結紮(けっさつ:血管を縛る処理)がとにかく多い印象。
とはいえトラブルもなく、手際よく約40分で手術終了。
(先生の腕前は、医者目線でもお見事でした)


術後のんびり昼寝、からの……

術後、自力で歩いて車椅子に乗り、部屋に戻る。
とくに痛みもなく、やることもないので、ベッドでゴロン。

「昼から堂々と寝られるなんて最高だな〜」と、のんきに構えていたら──

約2時間後、目が覚めてみると……

(つづく)

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